こんにちは!人事広報部の宮田です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急事態宣言も発令し、先の見えない自粛生活が続いていますが、皆さんお元気でいらっしゃいますか。本当に大変な時期ですが、知恵を絞りながら一緒にこの緊急事態を乗り切っていきたいですね。
さて、当社では3/26(木)から東京オフィスを、4/6(月)から名古屋オフィス、屋久島オフィスの全クルー(当社では社員のことをクルーと呼びます。以下、クルー)に対しリモートワークへ切り替えました。メディアではリモートワークの推奨が連日ニュースに取り上げられています。そこで、当社でのリモートワーク切り替えまでの経緯や取り組みが少しでもお役に立てればと思い、ブログにまとめることにしました。
目次
素早くリモートワークに切り替えられた理由は段階的な準備
1月末頃、中国の武漢で都市封鎖が始まり、2月に入り愛知での感染者が出たことで、一気に危機感が高まりました。今後、日本の主要都市である東京、大阪、愛知で感染者が増えるのは時間の問題だと判断し、2月半ばから社内でコロナ対策の議論を始めました。クルーや家族の安全を守るため、また、企業としての社会的責任を果たすには何がベストかを幹部で日々議論し、段階的に方針を決定していきました。
状況に応じて段階的に勤務体制を変更
以下のように、段階的に勤務体制を変更していきました。
3/2 :全クルー時差通勤可能な勤務形態に(フレックスタイム制度を適用) 3/26 :東京オフィスのクルーに対し、リモートワーク切り替え 4/6 :名古屋オフィスを含む全クルーに対し、リモートワーク切り替え
当社全体で約45名のクルーが在籍しています。名古屋オフィスが本社、他に東京オフィス、屋久島オフィスの合計3拠点があります。
まず、第一弾は、3月から全クルーにフレックスタイム制度を拡大適用することによって、3/2から時差出勤など混雑時間帯を避けた通勤に対応しました。
次に、第二弾、3/26から東京オフィスのクルーに対し、リモートワークへ切り替えることを決めました。前日の3/25に東京の感染拡大を受けてリモートワーク切り替えの最終準備をしており、小池都知事会見での「感染爆発の危機が迫っており、平日はなるべく自宅で勤務していただきたい」という発信を受け、即決断しました。
東京オフィス勤務はマーケティング部とプロダクト開発部で、業務的にもスムーズな切り替えが可能でした。実際にリモートワーク切り替え後も、業務に支障はありませんでした。
そして、第三弾、4/6から名古屋オフィスを含む全クルーに対し、原則リモートワークへ切り替えることを決めました。業務の性質上、名古屋オフィスはリモートワークの切り替えに対し慎重論もあったのですが、その前週に名古屋駅付近のオフィスビルで感染者が発生したことや、専門家会議の発信で、医療体制がひっ迫している都道府県の中に愛知県も含まれていたことが、決断を後押ししました。
公式ニュースでの発表は以下のリンクからご確認ください。
▼3/26(木)発表の公式ニュース▼
新型コロナウイルス感染症拡大に備えた東京オフィス従業員の在宅勤務(フルリモートワーク)等実施に関するお知らせ
▼4/3(金)発表の公式ニュース▼
新型コロナウイルス感染症拡大に備えた当社全従業員の在宅勤務(フルリモートワーク)等実施に関するお知らせ
クルーへの周知、環境面の準備を段階的に行った
名古屋オフィスでは、顧客へのサービス、セールス業務を行うカスタマーサクセス部、人事広報部、総務経理部があり、電話やFAXを利用する頻度が高い業務に従事するクルーばかりです。他社では電話やFAX業務がリモート切り替えのネックになっていると耳にします。しかし、当社ではもともとの環境に加え、段階的に準備をしたことで、比較的スムーズに在宅勤務への切り替えができました。
段階的な準備には2つの視点があります。1つ目は、コロナ対策についてクルーの意識を少しずつ高める視点、2つ目は、リモート勤務に移行するために必要な環境やツールの整備という視点です。
1つ目については、2月中旬より、政府からの発信情報などをもとに、感染拡大を予防するための最低限の対応(手洗い・うがい・消毒・咳エチケット)をクルーにお願いし、マスク配布やアルコール消毒の設置、日々の声がけで意識を少しずつ高め、基本行動の習慣化を図ってきました。最初の頃は「なんでそこまでやらないといけないの?」という懐疑的な声もありましたが、感染拡大するにつれ、そのような声もなくなりました。
一方で、感染リスクが高まる中での安心感をつくることも心がけました。体調不良者は確実に休んでもらうために、休業補償や傷病手当について周知するとともに、フレックスタイム制度を全クルーに適用し、通勤時の混雑を避けるために時差出勤を推奨しました。リスクへの危機意識を高めるとともに、生活面や健康面の安心をなるべく担保することで、コロナ対応への会社の姿勢をクルーに示し、一緒にコロナを乗り越えていく意識を醸成してきました。
2つ目については、「いつリモートワークへの切り替えの必要に迫られてもいいように準備をしておく」という前提で、実際に在宅勤務に切り替えた際のシミュレーションを行い、弊害になりうる環境面の課題を1つずつクリアしていきました。例えば、ネット環境の有無やお子さんを自宅で保育する必要のある家庭で在宅勤務が可能かどうか等のアンケートを実施、また、オンラインでのコミュニケーション手段の準備(普段からSlackは使っているのですが、オンラインMTGツールが必要だったため、全社でZoomを導入)も行ってきました。
Zoomのように初めて全社で導入するツールは、事前テストや練習を行うことをお薦めします。当社でも昼礼や全社会議をZoomで行い、全クルーで操作を練習できたおかげで、在宅勤務に切り替えてもスムーズにZoomを利用することができました。
また、環境面で一番大きな壁だったのは、カスタマーサクセスをはじめとする電話業務のリモート化です。当社の電話システムはCTI(Computer Telephony Integration)を活用しており、社外でも物理的に電話業務は可能な仕組みであるため、不幸中の幸いでした。しかし、実際に自宅で問題なく電話システムが活用できるのか、不安はありました。総務では、社内外で検証を行い、実際にトラブルもあったもののどうにか解決したうえで、本番のリモート切り替えに臨むことができました。在宅勤務開始後も、電話やネット環境の不調など、個々のトラブルについて、総務がバックアップしている現状です。
以下は、時系列に対応をまとめたものです。
2/17(月) :クルーへ周知
①手洗い・うがいの実施、咳エチケットを守る
②体調不良者の出勤停止、在宅勤務調査を開始(在宅勤務になった際に可能かどうかヒアリング)2/25(火) :クルーへ周知
①休業補償、傷病手当について
②時差出勤の推奨
③換気・消毒の運用2/28(金) :お子さんがいるクルーへ学校・保育施設状況調査を開始(学校の休校を見据えて) 3/16(月) :三密リスクのある施設の利用自粛要請、来客・訪問の原則禁止 3/18(水) :Zoom全クルーアカウント発行 3/24(火) :Zoom動作確認、使い方説明 3/25(水) :Zoomを使ったオンライン昼礼テスト 3/26(木) :PC持出申請の提出、wi-fi貸出手続き、東京オフィスリモート切り替え 3/30(月) :名古屋クルーへ自宅での業務環境を最終確認 4/3 (金) :リモートでの電話業務動作確認 4/6(月) :名古屋オフィスを含む全クルーに対し、リモートワーク切り替え
刻々と変わる状況の中、役員や人事、総務の迅速な決断と準備により、比較的スムーズな切り替えが実現できました。家庭環境にまで踏み込んで確認してもらえたことで、様々な状況に対する事前シミュレーションができて良かったという、クルーの声もありました。また、代表の川口も、当社のリモートワーク切り替えを「神対応だった」と表現していました(笑)若干手前味噌かもしれませんが…、クラッソーネのチームワークが発揮された出来事だったと思います。
リモートワークにおけるコミュニケーションの工夫
リモートワークの課題として、よく取り上げられるのが「コミュニケーションが不足しがち/難しい」という課題です。
当社では、もともと導入していた「Slack」と、コロナ対応をきっかけに全社導入した「Zoom」をフル活用することによって、コミュニケーションの質と量を極力落とさないように心がけています。
- 毎日、全社でZoom昼礼を実施(主に会社からのオフィシャルな連絡、各部署からの報告)
- 各チームで、Zoomを活用して朝礼・昼礼・終礼を実施(主に業務面の連絡)
- Slack上で業務上のやり取りは、ひっきりなしに行われている
- ちょっと相談したいときは、Slackの通話機能やZoomでチームメンバーとやり取り
※ZoomはSlackと連携ができるので、「/zoom」とSlackで入力するだけで、相手とZoomで話せるという超便利な状況です。
各ツールについての導入経緯や活用についても書いておきます。
Slack
社内Slackイメージ
社内のコミュニケーションツールとしてSlackを導入したのが2019年の夏頃でした。それまではGoogleのハングアウトを活用していました。Slack導入の背景には、各ツールとの連携が可能で利便性が高いことや、チャンネル・スレッド・検索などの欲しかった機能を網羅していて使い勝手が良かったことから決定しました。総務が運用ルールについて管理しており、社内エンジニアの運用工夫のアドバイスもあって、Slackは、公式な情報伝達、業務上の報連相から雑談まで、円滑な社内コミュニケーションに欠かせない存在になっています。エンジニア永元が社内で実施した「Slack研修」の内容は、初心者の私たちにとって大変参考になりました。
▼
気軽に投稿してもらうためにSlack研修「Slackはムズカシクナイヨ」を実施しました
Zoom
ZoomでのMTGの様子
以前から、一部メンバーは拠点を超えたMTGや採用面接などで利用していたのですが、コロナ対応を機に全クルーが利用するようになりました。
オンライン通話ツールの中でも、通話品質が比較的良いことが、支持されている理由だと思います。
在宅勤務を始めてみると、仮装背景が設定できるメリットが大きいと感じます。部屋が汚くてもばれませんし(笑)、好きな画像を背景にMTGができるのは気分も上がります。
また、全社会議など大人数のMTGでは、チャット機能や反応機能で、リアクションができるのも魅力ですし、ブレイクアウトルーム機能で少人数での会話ができるのもいいですね。当社としても、さらに使いこなしていきたいと思います。
それから、リモートワークでのコミュニケーションの問題について、人事として感じることは、リモート云々の前に、もともとその会社が風通しの良い環境で、コミュニケーションがとれているかが、非常に重要だということです。
当社では創業当時から、クルー同士の風通しの良いコミュニケーションが大切だと考えて様々な施策を行ってきました。その1つの例が以下の「Good&New」です。
Good&Newの様子
Good&Newは昼休憩後の業務時間20分を使い、全クルーが5~6名のチームごとに集まり「最近あった良い/新しい出来事」について、ざっくばらんに話し合う時間です。座席は毎日くじ引きで決めるため、部署や役職、雇用形態を越えて、多様なチームで会話をするため、部署を超えた風通しの良い関係性づくりに繋がっており、また、新しいクルーが会社に早く馴染むきっかけにもなっていると感じます。リモートワーク中の現在は、一次中止していますが、また形を変えて実施したいと考えています。
この他、四半期に一度、ミッション・ビジョン・バリューに紐づく経営指針についての経営陣からの発信、クルーとの対話を行う「QMTG」や、毎日各部署からの連絡・共有を行う「昼礼」など、部署を超えた、縦・横・斜めの社内のコミュニケーションを大切にしてきました。コミュニケーションがもともと活発な当社では、リモートワークに切り替えても、比較的スムーズにコミュニケ―ションがとれていると感じます。ただし、オンラインだと「業務上のやり取りのない他部署とのコミュニケーションが希薄になりそう」という懸念の声はあるため、今後工夫をしていきたいと考えています。(Zoom飲み会が流行っていますが、子育て中のクルーが多い当社では、日中にできる施策が良いと考えています)
リモートワーク切り替え後に実施が決定した在宅勤務支援
在宅勤務に切り替えた後に気づいたことをもとに、クルーへの支援策も随時決定、実施しています。
在宅勤務手当の支給
5月より在宅勤務者の通勤手当を不支給とする一方で、5000円/月の在宅勤務手当を、水道光熱費の実費補填分として支給することを決定しました。
書籍購入支援制度利用時の自宅配送
当社では、毎月3千円以内で本を購入することができる書籍購入支援制度がありますが、その申請をする際に、自宅を配送先に選択することができるようになりました。これにより、通勤時間がなくなったことでできた自分の時間を、読書の時間にあてることが可能となりました。
リモートワークの課題は総務・経理の業務
4/6(月)から全クルーがリモートワークに切り替わった一方で、総務経理の業務についてはリモートへの切り替えが難しく、総務経理部のみ交代で出社しています。当社では、経費精算やワークフロー、勤怠管理、給与支払いまでほぼ全てがクラウド化されていますが、それでも、契約関連や請求書処理など紙での対応が必要となる業務があるなど、リモート化への課題として残っています。おそらく多くの企業で同様の課題を抱えていらっしゃると思いますが、今後さらに作業のオンライン化を進めていきたいと考えています。
まだまだ新型コロナウイルスの終息時期が見えず、いつまでリモートワークが続くかも見通せない中で、この制約をピンチでなく、変革へのチャンスとできるかが企業に問われていると感じます。リモートワークで、これまでの生産性を維持できるようになれば、働き方の多様性が拡張し、勤務地にとらわれずに様々な人の力を得ることができるようになります。また、クルーやパートナーなど働く人にとっても、通勤時間がなくなった分、家族との時間や自分の時間を得ることで、さらなる「豊かな暮らし」の実現にも繋がると思います。
今回のコロナ対応をきっかけに、各企業が知恵を絞りながら、新しい働き方をつくっていくことができれば、「ピンチをチャンスに」できるのではないかと考えています。